梅酒とは

 

梅と梅酒 

梅酒は、ベースとなるお酒に梅の実と砂糖を漬け込んで造られます。長期間漬け込むことで砂糖の浸透圧を利用し、梅の実のエキスが徐々にお酒に染み出ます。梅酒の味が決まる要因となるのは、ベースの酒と砂糖の種類と分量、また梅の品種や熟れ具合、そして熟成期間です。生産者は独自に研究と試行錯誤を重ね、そのアレンジを変えることで個性を際立たせ、それぞれの銘柄の梅酒を生産しています。また、梅酒の製造方法は簡単なので、家庭でも造ることができます。ただ、酒税法上の制限があり、ベースのお酒は20度以上でなくてはなりません。それ以下だと、糖分を添加した場合に再発酵が進み、「お酒を造った」とみなされてしまうからです。また、自家製梅酒は家庭内の消費が前提で、販売することはできません。やはりお酒を造るということにはいろいろと制限がありますね。

 

 

梅と梅酒の歴史

 

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梅は中国から日本に6,7世紀ごろに伝わってきたとされており、高温多湿な日本の気候風土のなか、梅の実の持つ殺菌作用、整腸作用、清涼感等々、その長所を引き出す保存方法や調理方法が長い時間のなかで試行錯誤されてきました。江戸の頃にはすでに薬用での効能としても注目された梅酒が、一般の人にも広まるようになったのは明治に入ってからのことです。近代化のなかでお酒と砂糖が安価になり、それを用いた果実酒が身近なものになりました。果実酒は梅のエキスを引き出し、梅の実そのものも保存して食用にすることもできます。時代が進み、歴史の中で培われてきた梅の活用法が格段の進化を遂げたのです。

 

 

ベースの酒

 

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  • 本格焼酎(焼酎乙類)ベース

焼酎は大きく分けて焼酎乙類と焼酎甲類の2つに分けられます。そのうち焼酎乙類は単式蒸留を行ったもので、米、麦、芋、黒糖、そば、泡盛などが代表的です。焼酎甲類よりも個性がはっきりと表れるので、梅酒にした場合もそれが顕著に表れます。

 

  • ホワイトリカー(焼酎甲類)ベース 

日本では焼酎甲類をホワイトリカーと呼びます。連続蒸留した酒なので、極めてピュアなアルコールです。梅酒を漬けるのにホワイトリカーがよく使われるのは、無味無臭なので梅と砂糖を漬け込んだことによる香りや甘味をそのまま楽しむことができるためです。ホワイトリカーを使った梅酒は、梅のよさを最大限に引き出した梅酒らしい梅酒になります。

 

  • 日本酒ベース

焼酎などで造ったものと比べると、華やかな香りとまろやかさが特徴です。酒蔵自身で造った日本酒をベースに梅酒を製造する酒蔵も多いです。日本酒ベースは非常に飲みやすいので、女性にもオススメです。

 

  • ブランデーベース

大人の味わいを楽しみたいのなら、ブランデーベースがオススメです。ブランデーのアロマティックな芳香に、梅の酸味や旨味が加わってひと味違う梅酒になります。

 

  • ウイスキーベース

ウイスキーは、大麦やトウモロコシなどの穀物を原料とした蒸留酒です。ふわりと立ち昇る独特の芳香が生きる梅酒に仕上がり、甘く妖艶な味になっています。

 

  • ワインベース

ワインはその原料と生成方法からアルコール度数が高いものは少なく、ワインベースの梅酒とはすでに生成された梅酒とワインを混ぜ合わせて造られるものが多いですが、ワインと梅酒の相性はよく、どちらの特徴も活かされた味わいになっています。

 

 

梅の種類

 

南高梅


  • 南高

粒が大きいですが、果皮は薄くて果肉が厚くジューシーです。最高級の梅干し用に用いられる品種ですが、最近では梅酒用としても人気です。和歌山県で生産される白梅で、和歌山県のみなべ町発祥とされており、2006年には地域ブランドに認定されました。

 

  • 古城

和歌山県で多く栽培されていて、すっきりとした果汁が特徴なので、梅酒や梅ジュースに最適です。実が引き締まってエキスがたっぷり詰まっていて、青いダイヤとも言われています。

 

  • 白加賀

全国的に栽培される作付面積日本一の梅ですが、特に関東に多いです。淡い緑色の果皮をしていて、果肉は繊維が少なく肉厚です。

 

  • 鶯宿

淡桃色の花の色が美しく、鑑賞用としても人気です。四国・九州などに多く、実が大きく果肉も厚くて上質です。梅酒以外にカリカリ漬けにしても美味しいです。

 

  • 豊後

冷涼な気候でも育つことから、東北地方で多くつくられており、花は遅咲きなので国内で一番遅くまで手に入る梅です。果肉は厚く、酸味が少ない品種です。

 

  • 玉英

梅酒・梅干しともに使われることが多く、全体的に玉揃いがよく、見た目が綺麗で果肉も厚いので、優良品種として知名度が高いです。

 

  • 藤五郎

新潟の代表的な品種で、中粒、果皮は緑色で陽光面がやや濃紅色になります。江戸時代の終わり頃に市場に並んだ歴史のある梅で、戦時中には軍の保存食としても使われていました。

 

  • 紅映

福井県の若狭地方で栽培されています。種が小さくて果肉率がとても高く、色鮮やかで良質な梅干しや梅酒ができます。

 

  • 剣先

福井県産の西田梅という品種を梅酒用に改良したもので、実の先端が尖っているように見えることがその名前の由来です。果肉率が高く、専用種ならではの品質のよい梅酒ができます。

 

  • 梅郷

東京青梅市で発見されたもので、果実が大きいわりに種が小さく、果汁率が高い品種です。

 

  • 竜峡小梅

大半が信州で栽培されていて、小粒ですが玉揃いがよく、種もとても小さいので果肉が十分に生かせます。

 

砂糖の種類

 

梅酒用の砂糖


  • 氷砂糖

一般的に梅酒と言えば氷砂糖を使います。徐々に溶けていく過程で、味がまろやかになるのが特徴です。

 

  • 上白糖

転化糖を加えてあるので、独特のしっとり感があり、梅酒にほんのりとコクを与えることができます。

 

  • ざらめ糖

氷砂糖と上白糖のちょうど中間のような砂糖で、氷砂糖よりも早く溶けて、上白糖よりも扱いやすいです。

 

  • 黒糖

梅酒に黒糖を使うと、インパクトのある香ばしさと深いコクが生まれます。